母のこと

今日は一日フリーになったので、母に会いに奈良まで行ってきました。

奈良公園のシカが日なたぼっこしている姿は平和そのもの。

 

母は、また一回り小さくなったようでした。

もう寝たきり状態です。

食べるときだけ車いすに座ります。

頬がこけて骨ばった顔は昔のまん丸顔の面影がもうありません。

小さい目は閉じたまま。

目を開けるのもエネルギーがいるのか、呼びかけるとがんばって薄目を開けようとするのがやっとです。

 

ベッドの横に敬老の日に戴いた歌詞集のファイルが置いてありました。

スタッフのかたの手作りの歌詞集です。

母の耳元でそっと歌ってみました。

「うさぎおいしかのかわ、こぶなつりしかのかわ・・・」

しっかり閉じてた瞼がびくっと動き、口元が少し開いたみたい。

歌詞集の曲を、次から次へと母の耳元で歌いました。

 

そういえば、今から3年前までは、コーラスの帰りに、ボケ防止に!っと母と叔母に歌う時間をもってもらおうと実家に帰ってました。

この3年間で症状が一気に進みました。

 

最近の母を見てると、人間はこうして枯れていくのだなあと思えます。

これが自然の摂理ですね。

体から水分が抜け出てしぼんでいくのが老化。

今や医学が進歩して長寿国になり、命が永遠に続くのでは・・・と錯覚してしまいますが、生きるものは必ず命が途絶える時がきます。

ロイの旅立ちを通して感じましたが、命が枯れることは少しも惨いことではないのです。

生きることのほうが辛いことだと。

ロイは、身動き出来ない体を受けいれられなかった時が一番つらかったのだと思います。

受け入れてからはロイもあまり鳴かなくなり落ち着いてきました。

 

母も。。。

認知症の症状が出始めた時、母は自分の頭の中で起っていることに非常な不安を感じていたのでしょう。

恐怖をみていたし、自分の頭の中で何が起こっているのか、変だ変だと言ってたし、さぞかし辛かったのだと思います。

今は、いったい何を感じているのかはわかりませんが、非常に穏やかな顔をしています。

今日私は、母の頭をいっぱい撫でてきてあげました。