紐解く

22日レクチャーコンサートが終わりました。アンスティチュ・フランセのコンサートは気が張ります。今回は演奏される機会が少ない通好みの曲で、そこにレクチャーが入るので、それなりに気を引き締めて演奏に臨みました。といっても暗譜で歌ったのは私一人でしたが。私は楽譜が目の前にあると曲に集中できないし、暗譜は大変ですが、観客を見て歌う方が好きなので、難しい曲でしたが暗譜で通しました。

 

今回のフォーレ「閉ざされた庭」とはいったい何なのか。最後まで考え続けました。閉鎖された庭・・・、囲まれた楽園・・。

調べてみると、旧約聖書『雅歌』に「私の妹、花嫁は、閉ざされた庭、・・・」の一文があるということがわかり、「閉ざされた庭」とは、聖母マリアを暗示する、マリアの処女性を象徴する言葉だという記述がありました。確かに受胎告知の絵画はマリアは塀に囲まれた中に描かれている。

だが、フォーレは、レルベルクのこの詩から「聖母マリアの姿」の文字を削して作曲している。

フォーレは、聖なる天上の世界ではなく、地上の人間の営みとしての愛を描きたかったのではないか。。。清らかな乙女の姿を通して・・・。

フォーレがこの曲集を作曲した年は、第一次世界大戦が勃発した最中。戦火を逃れつつ、人間の醜い争いや苦難から自らの精神を遠ざけ、ひたすら清らかな楽園を夢見て書いたのだろうか。。。

などと思いながら、清らかな処女性の精神で、祈り、愛の芽生えをイメージして歌うことにしました。

こうして、難曲の言葉をひとつひとつ紐解いていく作業は面白いものです。

次はフォーレのもうひとつの大曲「La Bonne Chanson」に挑戦します。

11月中旬にはボルドウイン氏、そして来年4月にはル・ルー氏のマスタークラスがあり、私はフォーレのこの情熱燃え上がる曲でアタックします。

さあ、明日から譜読み開始です!