リーダークライス作品39

ソワレの会は、歌詞の訳、そして解説も書かなければならず、解説は字数制限があってそれなりに大変なのですが、やっと書き終えたので、演奏会前ですが公開します。

これを読んで聴いてみようかなあ~と思った方は、是非いらして下さい!

 

R.シューマン

リーダークライス作品39    詩:アイヒェンドルフ

 

『リーダークライス』とは歌の円環と言う意味の造語で、後期ロマン主義の詩人アイヒェンドルフの内面的に関連ある詩を12曲選び連ねた歌曲集である。シューマンの「歌の年」1840年の作。これは「私の最も深遠でロマンティックな作品である」とシューマン自身が述べたとおり、ロマン主義のテーマである、自然、放浪、幻想、夢、夜の情景が満ちた薫り高い傑作集である。

 

『異郷にて』故郷に戻れぬ底知れぬ孤独を、『間奏曲』ひそやかな愛を歌い、『森の対話』ローレライの伝説に基づいた森の闇の誘惑を歌い、『静けさ』静寂の中の心の歓びを、そしてこの曲集屈指の名曲『月の夜』では、神秘的な、また夢幻的な夜の恍惚とした情景を歌う。『美しい異郷』幻想的な夜の陶酔を語り、『古城にて』廃墟となった古城から見る現実の世界の虚しさを、『異郷にて』森の中に迷い込んでしまった詩人を、そして『悲しみ』では、誰にも分からない歌の奥に潜む悲しみを語り、また『たそがれ』では、黄昏時の危うさを警告し、『森の中で』昼から夜を対比させ、そして終曲『春の夜』でようやく深い迷宮から覚め、現実の世界に生還する喜び、クララへの愛を歌い、この長い「歌の円環」が結ばれる。【解説:磯島 朋子】